経済学部/聖光学院
FW #9 間宮 健太
アイスホッケーの一番の魅力は何か
最後の氷上の後、澤邉とそんな話をしながら帰った。
地上では見られない自由自在な動き、肉体がぶつかり合う激しさ、ゴールに突き刺さる弾丸シュート。新入生を勧誘している時にはそう満足気に説明した覚えがある。
ただ自分に目を向けてみるとどうだろうか。コンタクトスポーツとは無縁の人生。部内随一の体の弱さでチェックは怖いからなるべく避けたい。当たられてしまえば最後、いとも簡単に吹っ飛ばされる。ましてや、ひ弱なシュートはスティックがしなるなどとは程遠い。
新歓で語った魅力たちは自分の部活人生には見る影もなかった。それでも氷上には毎回ワクワクして臨んだ。何が自分をそこまで熱中させたのか。そんなアイスホッケーに向いてないようなやつが部活にのめり込んでいくまでを長々と振り返っていこうと思う。
1年生。結局入部せず。
新歓は色々行きたいと考えていた時に見つけたアイスホッケー部。同じクラスの廉が経験者と聞いて驚いた。高校同期たちと押しかけた新歓は楽しく、仮入部という形で5月まで何度か練習に参加させてもらった。アウトエッジを練習していると初対面の竹本に「びびってんじゃねえよ」とだけ言い放たれたのも懐かしい。あれはかなり怖かった。結局テニスへの未練と多少の遊びたさからテニスサークルに入った。
そうして1年が経った3月頃、いつしかテニスのモチベーションは下がりチームスポーツへの憧れを抱くようになっていた。何か新しいことを始めようかなと思っていた矢先、廉に何気なく新歓に遊びに来るかと誘われた。廉は半分冗談だっただろうがこれだ!とピンときたのを覚えている。あの時誘ってくれたおかげで大学生活が一気に楽しくなったし、間違いなく人生の転機となった。廉、本当にありがとう。速攻で太陽に相談しインラインで特訓してもらった。
2年生
迎えた2度目の新歓。昼間に購入したスケートに意気揚々と足を通した。新歓ベテランとして実力を見せつけてやろうなんて考えていると、軽快なクロスオーバーで疾走しながら見事なシュートを繰り出す新入生を見つける。これがスンミンとの出会い。半ば強引に手を挙げさせ、その日に一緒に入部した。
入部してみると同期は個性が爆発していた。初回の控室は森山工のマダガスカルの話で大盛りあがり。一切ついていけなかった。
後から入って馴染めるかどうかはかなり不安だったが、元から仲がよかった太陽と廉にはかなり助けられた。警戒していた竹本は意外と優しかったが、初めて話す川口には幸せの定義と支持する政党を聞かれた。雲行きはかなり怪しかった。
それより不安だったのはやはりホッケーのこと。未経験とはいえ1年間ホッケーしてきた同期との差は大きく、スンミンの上手さにも圧倒された。
当時の4年生には本当にお世話になりました。大森さんや並木さんは特に頻繁に下級生練習を覗きにきてくれて、松井さんにはよくビデミまでしてもらった。さらには入部したての頃から練習試合にも出してもらえる贅沢すぎる環境。先輩たちの出る機会を削ってまで出してもらっていたことを本当に感謝しています。
神宮にフリスケに行くと必ず誰かと会った。特に嗣丈とは何回遭遇したことか。こいつらはどんだけ練習するんだと衝撃を受けながら自分も負けまいと通い詰めた。当時はこれが普通だと思っていたが、各大学を見渡してもホッケーを始めるにはこれ以上ない最高の環境だったと思う。入部時の目標は3年の秋大会で得点を決めること。まだまだ遠い未来だとは感じつつ、まわりの努力量に刺激されながら奮闘することとなる。
秋大会の上智戦は忘れられない。3P 0-1で負けていたところから残り5分で竹本が2点をとり感動の逆転勝利。ヒーローとして讃えられる竹本。2年前からすでにエースの風格は備わっていた。いつの日か自分もああなってやるんだ、なんてぼんやりと思った。
この頃の自分はスンミンへの競争心で頭がいっぱいだった。やはり同時に入部したスンミンは自分にとって特別な存在で、周りからも比べられることも多く、常に意識せざるを得なかった。スンミンがいなかったらここまで頑張れてはいなかっただろう。絶対に負けまいと焦る思い。スンミンがいいプレーをすると嬉しいような悔しいような、そんな複雑な感情を抱いていたことをここに自白する。チームメイトのナイスプレーを素直に喜べないってカスですよね。恥ずかしながらまだまだ心の底では個人スポーツをやっている気分だった。
チームはDiv.2優勝に沸いた。そうして迎えた入替戦。ポイントで出すから覚悟しとけと松井さんに言われて本当に大丈夫かと不安だった。出ていたみんなが体を張りながら死に物狂いでプレーするのを見るたびにやる気にブーストがかかっていく。2Pが始まって試合に出始めると案の定スピードについていけず転んでばかり。流石にまだ早かったかと思う。それでも期待して出してもらってるんだから体力の限界まで走るしかないとしがみついていた。そしてその時は急に訪れた。奇跡のゴール。一生忘れない瞬間。体を走る電流のような衝撃が、あの光景をとして脳裏に焼き付けた。ホッケーの虜になった瞬間だった。
3年生
4年生たちが引退した最初の氷上はあまりにも静かだったのをよく覚えている。みんなずっと前から覚悟していたことではあったが、どれだけ大きな穴が空いてしまったかは明確だった。
春合宿。中村さん、松本さんには本当にご迷惑をおかけしました。あえてそこには深く触れないが、ホッケーでは大きな気づきがあった。リンクから宿までのバスで川口と話ている時に「春大会までに川口を抜く!」と宣言した。川口が覚えているかは分からないが、その時川口に言われた言葉にはっとした。
「チーム内に対抗心を向けすぎ。敵はチームの外にいるのであって本来目標とするべきはそっちだ」と。ライバルと敵の違い、それを無意識のうちに混同していたことに気づいた。自分のマインドがいかに個人競技に過ぎなかったのかと思い知らされた瞬間だった。競うのはいいかもしれない。でもどこまで行っても仲間であり、倒すべき敵は外にいる。みんなでそこを向いているからチームなのであって自分はその一員にはなれていなかったのだと。チームスポーツをやりたいと言って入部した割には全くそこに触れてこなかった自分が恥ずかしくなった。
3年生はやはり悔しい結果が続いた印象が大きい。大差をつけて勝つのが当たり前だったところからの転落。秋大会はなんでこんなに負けているのかも分からなくなっていた。負けが続くうちに際立ったのは悔しさよりも中村さん、松本さんへの申し訳なさ。かといって真摯にホッケーに向き合っていたかと言われると、就活などにも関心が向き、モチベはだいぶ下がっていた。ここで中だるみしたのが部活人生の後悔。3年生でもっと真面目にホッケーをやってれば、入替戦の結果を変えられたんじゃないかと本気で悔やんだ。
そんな姿勢だったのでプレーでも目標を失って迷走していた。1年前までなら溢れていた上手くなってやろうという気概も徐々に薄れていた。一つずつの負けがチームをむしばんでいく中、その状況を変えられるのは経験者たちであって、自分ではないなんて思った。
頼ってた。みんながなんとかしてくれるだろうと。だから大事なところでパスを受けるのが怖かった。自分がチャンスを潰してしまうのが嫌で、パックがきてもすぐに誰かに渡した。上手い人たちがもっと運んでくれ、なんて思いながらプレーしていたしパスが来ないとどことなく安心する自分がいた。氷に乗るのは楽しいが本当の意味でホッケーの楽しさに触れようとはしていなかったのだ。するべき努力を怠ってそれでもギリギリ試合に出してもらえるというポジションにあぐらをかいていた。本当に情けなかった。
七帝戦で中村さん、松本さんを勝たせられたのがせめてもの救いだった。
双青戦の松本さんのPSには興奮した。ぶっつけ本番の大一番で決められるメンタルの強さに感服した覚えがある。ああいう締めくくり方で引退ができたら気持ちいいんだろうなと密かに憧れた。
4年生
ホッケーへの腐った根性を切り捨てたいと意気込んで迎えた最終学年。振り返ってみるとを心からホッケーを楽しめた年になった。
学年が上がる前から同期はみんな燃えていて、この一年が楽しみで仕方なかった。チームの目標についての話し合いを七帝中にした時に、神大だけじゃなくてその一つ上の東海を倒そうなんて話もあがったが、自分はあの大きい野望に向かっていく雰囲気がとてつもなく好きで興奮した。
夢が現実に近づいていく瞬間ほど楽しいものはない。その上で欠かせなかったのはやはり久保さんの存在。仕事で忙しいのに練習に来てくれて、貴重な有給を使って合宿にまで来てくれるコーチなんて他にいない。久保さんが来てからのチームの伸びは著しかったし、久保さんなしに東大はここまで強くはなれなかったと断言できる。恩を返しきれる自信が全くないくらいもらってばかりでしたが、本当にお世話になりました。
さて、自分が決意で立てた目標は3つ。
1.「入れ替え戦もしくはインカレで点を決める」
2.「引退するときに感謝される先輩になる」
3.「応援されるにふさわしい姿勢であり続ける」
2,3 の検証可否はさておき、決意で立てた目標への執念は誰にも負けていなかったと自負している。自分の決意は何度も見返したし、ビデオが上がるまでの時間や試合前にみんなの決意を読み返すのが好きだった。こんなにも熱いやつらに囲まれて部活ができているのかと、その喜びを都度噛み締めた。
みんなの熱さは各所で感じたが、やはり太陽は人一倍強かったと思う。印象に残っている場面もいっぱいあるが、自分を震わせたのは春合宿の鳥取中戦だった。みんなある程度の手応えを感じていた試合終わり、太陽だけが涙していた。その貪欲さと一つの練習試合にかける情熱は、それはもうチームへの火炎放射だった。太陽の今年1年の姿を見てモチベが上がった人は自分以外にもいっぱいいると思う。みんなに情熱を広げることができる、そんな立派な主将についていけたことを誇らしく思う。
決意で書いた「脳汁」。思っていたよりもいろんな人から声をかけてもらった。特に慶にはいっぱい言ってもらった気がする。振り返ってみると、一番きつい時にあと一歩踏み出すための原動力は最後までこれだった。報われる瞬間なんて一瞬でよかった。いつ来るか分からない、もしかしたら来ないかもしれないその一瞬のために、練習のダッシュから試合中までずっと全力を出し続けることを誓った。
そんな覚悟で幕を開けたラストイヤー。ホッケーでは去年とは打って変わり、経験者に頼らずとも自分でなんとかできるプレイヤーを目指すようになった。自分で主張してプレイメイクできる、そんな未経験の星になることを夢見た。なおきのプレースタイルにはずっと憧れてきたので、なおきには及ばなくてもミニなおきくらいにはなってやろう、それだけでもチームはだいぶ変わるはずだと考えていた。なおきにはいつも色々聞いたけど毎回ちゃんと目標をくれてありがとう。結局足元にも及ばずに引退となってしまったが、そういう気概でホッケーに向き合うのは新鮮で、4年生の時が一番上達したと胸を張って言える。
春大会直前くらいからセットでプレーする楽しさを知り始めた。チームプレーってこんな感じかとやっと分かってきたのがこの頃で、ついにチームスポーツの域に足を踏み入れた気がした。春大会で同じセットになったなおきと水田とはずっとビデミしてた。なおきが積極的に召集してくれて、最初はこんなにいる?とか思ったが大正解だった。本当にありがとう。3人で話し合って、何度か変えてみて、ハマる形が見つかって、段々と阿吽の呼吸が作られていく、その過程がひたすらに楽しかった。
チーム全体の士気が上がっていくのもひしひしと感じた。Youtubeには100件以上コメントがつく動画も出てきた。歴代の動画を再生数順で並べ替えると歴史的な試合たちの間になんでもない普通の練習が入るようになってきた。みんなが去年の何倍もの熱量で勝ちに必死になっていく環境が心から楽しかった。そして、なんと言っても後輩からの突き上げは本当に刺激になった。3年生はどんどんチームの中心を担っていくようになり、2年生の伸びも凄まじかった。元々試合に出ていた尾畑、水野の伸びはもちろん、個人的には未経験からスタメンとなっていた林と原をみていると自分ももっと頑張れる気がして鼓舞された。
春大会の優勝には意外にもそこまで嬉しさを感じなかった。もちろん重要な通過点であったのは確かだったが、見据えていたのは入替戦での勝利。嬉しさよりもこんなプレーを入替戦でやったら負けるななどの反省が先だった。
たかが通過点。しかしそんな考えは甘すぎたとすぐに気づかされることとなる。
秋大会。昭和戦、そして上智戦。入替戦にたどり着く前に大ピンチを2度も迎えることとなった。そしてこの2試合で運よく決めることができたゴールは共に忘れられないものとなった。特に上智戦は死ぬ間際にも頭をよぎるのだろう。
1点差で負けていた試合残り10秒、6人攻撃となりリンクに立った。見えたのは竹本にパックがいくところだけ。パックはDゾーンだったが竹本なら何かしてくれると信じて全力で前へ走った。俺にくれ!!と叫ぶ心は経験者に頼りきりの1年前とはすっかり別人になっていた。もう頼るのはやめた。自分の主張するプレーに味方が合わせてくれることを信じた。そうしたら竹本は見事にDゾーンからゴール枠内に入れ、こぼれたパックを残り0秒で押し込むことができた。頼るから信じるへ。少しばかり心の成長を感じた気がした。その後、竹本、尾畑、澤邉とPSは綺麗に決まり林のナイスキーで奇跡の逆転勝利。ペナボから出てきたなおきからは泣きじゃくった顔であつすぎる抱擁を受けた。
完全に勝ち癖のついた東大は乗りに乗った状態で入替戦を迎えることになった。川口、竹本とセットで話してる時は特に楽しかった。連携もハマるようになってきた中、このままハッピーな引退が待ち受けていると思っていた。しかしその末に訪れたのは、入替戦、七帝戦での無残な敗北だった。
入替戦当日。この日のために1年間を捧げた。できる準備は全てやった。直前からは大河と江川と毎日筋トレ生活までやった。そんな自分には不安や緊張なんてなく、ただ最高の大舞台でやってきたことを出すだけという心構えだった。そう思っていた人は結構多かっただろう。後は最後の根性で勝利を引き寄せるだけだった。200人もの方々に見に来ていただき、自分たちはこれほどまでに恵まれた環境でホッケーをやってきたのかと思い知らされた。決意では入替戦で点を決められる確率は1%以下と書いたが、体感20%くらいには上がった気持ちで待望の舞台に望んだ。大歓声の中行われたあの試合は今までで一番楽しく、この時間がずっと続けばいいのになんて思いながらプレーした。文字通り死ぬ気で戦った。最後2分くらいにゴール前でスクリーンに入っていた時には既に両足がつっていた。それでもみんながシュートを打ってくれると信じて自分の役割を果たそうと必死に立ち続けた。
野望が現実となるまではあと一歩だった。ただ、その一歩が届かなかった。外したシュートたちは今でも鮮明に思い出せる。あと10cmだけずらせていればなんてタラレバに頭を支配された。我々も相当な覚悟で臨んだが、最後には神大の執念に負けた。
泣いた。スポーツであんなに泣いたのは初めてだった。
その後しばらくは目標を失った。最後まで目標を失わないように決意ではインカレに言及したが、やはりメインのモチべはずっと入替戦だった。それが達成できないままふっと消えてしまった喪失感にただ呆然とする時間が続いた。
ここでまた松井さんに助けられた。七帝に気合い入れなくてどうする。東大は入替戦のために1年やってきたが、他の大学は七帝戦に情熱を燃やしてきている。そんなんじゃ絶対に勝てない。という喝を入れられた。頭では納得しつつも今までの情熱を灯せる気はしなかった。それでも少し心が入れ替わった気がした。
入替戦後の初氷上、伏見の氷に乗ると事故現場に戻ってきたかのような妙な静けさに寒気がした。久保さんにも喝を入れてもらったあの練習はおそらく1年間で一番強度が高かった。いい練習ができたと満足すると共に、これを前からずっとやっていれば勝てたのかもしれないとやるせない気持ちが増した。過去のことを悔やんでも仕方ないのは分かっていたがどんよりとした気持ちになった。
そして七帝での北大への敗北。後悔はまた一つ増えた。七帝に見事にピークを合わせてきた大河は集大成を見せつけるようなプレーで本当にかっこよかった。大河は今まで色々あったが、ちゃんと部活に戻ってきてくれて一緒に引退できたのが嬉しかった。北大戦にぶつける思いは相当なものがあったのだろう。そんな大河がたくさん止めてくれたにも関わらず、自分のミスが原因で失点した。大河を、そしてチームを勝たせられなくて申し訳なくてたまらなかった。試合前から負けることへの危機感はあったが、松井さんに言われた通り中途半端な気持ちで勝てる訳もなかった。3冠を逃し松井さんに見せる顔なんてなかった。
そうしてインカレも終え、埋めようのない満たされなさが残る中で八戸で引退を迎えた。
現役の間はホッケーについて黙々と考え続けるのが当たり前だった。朝起きてきてビデオを見るのが日課だったので、引退後にyoutubeが更新されないのは不思議な感覚だった。今でも後輩のビデオを時々覗く老害っぷりを発揮してしまう。ただ引退してみるとホッケーを中心とした生活がどれだけ特殊でかけがえのない日々だったのかを思い知らされる。
本題に戻る。
自分をホッケーに、そして部活に熱狂させたのは結局何だったのか。引退してからしばらく考えていたが2つに落ち着いた。
一つは、全員が当たり前のように勝利にこだわる環境が好きだった。サークルと部活の両方を経験した身として、やはり2つの違いは勝利への執念だと思う。部活という環境はやはり活躍して、勝ってなんぼの世界。どれだけ頑張ったとしても負けたらそこでおしまい。そんな残酷な世界で大きい野望にみんなで向かっていくのが楽しかった。一人ではそんなの絶対に無理だった。部員全員が勝利を望み、そのために必死になる。その過程でうまくいかなくて苦しんで、でもいつか一緒に喜べるように先の長い暗いトンネルを走り続ける。入替戦で自分が氷に立ったのは20分。たった20分のために1年をかけられることは人生であと何回あるだろうか。全てを乗り越えた先の勝利のためにみんなで本気なれる、そんなアイスホッケー部が大好きだった。
もう一つは、ホッケーという競技は限界を決めるのは自分だったというところ。ホッケーは正直4年間で習得するには無理があり、多くの未経験はまだまだ上手くなれそうというところで引退の時が来る。それは競技の特性上しょうがないことだと思う。そして少しばかり後悔をする。あの時もっと真面目にやっていればなと。ホッケーはまだ我々のレベルではやればやるだけ上手くなれる。1Aのプレイヤーでさえ急に開花するタイミングがあったりする。ただ1年中本当にホッケーしかしない人はおそらくいない。そこには誰しも妥協が存在する。勉強で忙しいからとか、遊びたいからとか理由はそれぞれ。どこかに自分でここが限界だというラインを設けて満足する。
でもホッケーはその限界を広げやすかった。だから好きだったのかもしれない。ビジター、フリスケ等いくらでも追加で練習できる環境が整っていて、あとは自分のやる気次第。入部後に気づいたが2年生からでもなんとか追いつけたのはこの環境のおかげだった。まだ見ぬ世界を求めて限界を押し広げていく。そしてその成果が出た時の喜び。このループがどんどん自分をホッケーの虜にしていった。センスなんて問われるのはまだまだ先のことだった。どれだけ頑張ったかがものを言う世界。だからホッケーに向いていないように思える自分でもこんなに熱中できたのだと思う。
この部活では脳裏に焼きつく景色や、忘れられない感情をいっぱい経験した。それは良いことだけではない。入替戦後の観客の皆さんへの礼のあと顔をあげられずに凝視した氷、七帝に優勝して肩を組みながら校歌を歌う北大、ブロックできずにゴールへ飛んでいく関大のシュート。鮮明に思い出せる情景がこれだけあるのはそれだけ本気で最後の一年を過ごせたからなのかもしれない。
何はともあれ、アイスホッケー部は間違いなく人生のハイライトとなった。
OB・OGの皆様、檀野監督、久保さん、チームメイト、応援してくれた友人、そして家族。皆さんの支えと応援があったからここまでホッケーに没頭しながら頑張れました。本当にありがとうございました。
最後に同期に一言ずつ。
太陽
もうすぐ11年目の付き合いですね。入った時からインラインとかビジターとかフリーアイスとかいっぱい誘ってくれて本当にありがとう。太陽がビジターに行き続ける姿はすごいと思いながらも、到底真似できるような強度じゃなかった。誰よりも一番妥協なくホッケーに捧げてたのは太陽だと思う。主将になってからは、いろんな責任がのしかかってきてて近くで見てても大変そうだった。今までずっと一緒にいたから主将は何なくこなしてくれると知っていたけど、想像よりも何倍も強いリーダーでした。大事な試合で負けてもみんなの前では絶対泣かない、ずっとチームファーストで動いている太陽には相当な覚悟を感じました。そしてそれ以上に、ホッケーの実力もラストイヤーで着実に伸ばしていたのは本当にすごかった。これだけ経験者がいる中でホッケーで魅せることができた未経験主将は後にも先にも太陽だけだと思う。本当にお疲れ様。
廉
どれだけ一緒にいたことか。どこ行っても一緒にいたね。アニマルスピリッツ代表、暴力至上主義?、でも実は優しい廉は後輩に慕われてて、めちゃくちゃチームを盛り上げてくれた。東大に足りないゴリゴリホッケーを一身に担って、声枯らしながらチームを引っ張る姿がみんなの士気を爆上げしてたよ。(ペナはしちゃダメだよ、あと筋トレは腕以外もやるんだよ) 。なんといってもれんには部に誘ってくれたことを感謝しないといけない。海老名のサービスエリアで串みたいの食べながら誘ってくれたのをよく覚えてる。あれが俺の人生を変えてくれた。本当にありがとう。
増澤
いつも何かと話題のザワ。スイスでの氷上の報告1回で終わったね。増澤は人の考えとか振る舞いとかを観察するのが上手だなと感じてました。同期の中でダントツで他者への興味が強かったよね。俺の価値観とか全部バレてた気がします。でもそれは性格を見るだけじゃなくてプレーへの指摘でもそうで、よくそこまで見てるなっていうアドバイスをもらってびっくりした覚えがあります。来年は旅の年だね。スイスのリベンジとして各地のリンクを回るvlogを心待ちにしてます。
なおき
入部当初は感情ないのかなとか思ってたけど、どんどん見えてくるなおきのあつさに驚きました。松井さんたちの引退で泣いてていじられてたけど、自分の引退は泣かないんだね。結構期待してました。でもやっぱり今年1年はなおきの部活にかける思いがたくさん見えて嬉しかったです。同期の話し合いの時もなおきの言葉には熱があって説得力あるしチームのことをよく考えてくれてたと感じた。春大会のセット楽しかったね。ミニなおきにはなれなかったけどホッケーが一層楽しくなったのはあのセットからでした。スケーティングを聞きにいくといつも、んー慣れかなって言われてムカついてたけどセットのミーティングはめっちゃ楽しかったです。合宿で捨てた見せてくれなかった日記のこと忘れてないからね。
川口
川口とは高め合えたと勝手に思ってる。違ったらごめん。少なくとも川口からはホッケーへの執念をすごく感じたしそれに負けないようにめちゃくちゃ頑張った。あのセットで秋大会一緒にやるようになって、後半からケミストリー生まれてたよね。ここに川口いてくれ!ってところにいるのを見つけると通じ合ってる気がしてすごく嬉しかった。陸トレはいつもデモまでやってくれてありがとう。SC長はみんなからいっぱい文句くる役回りだっただろうけどいいリーダーシップだったと思います。流石Leader。ボドゲ楽しみにしてる。
大河
戻ってきてくれてありがとう。これで好きにアラスカ行けるね。部を盛り上げてくれるのは大河でおもろさのためなら何でもやってしまうところに早稲高が溢れてたね。でも根が真面目なのは隠せてなかったです。悩んでもがいて最後に返り咲いた大河は七帝を通して輝いてました。大河もアナリスト増澤に劣らないくらい良く人を観察してるなと感じました。大河がお前すげえわとかいろんな人に言ってたのを見ましたがその言葉で自信を持てた人も多いはず。魔の大河カーの後輩たちにはぜひそういうところを見習わせてください。OBの威厳期待してます。
竹本
ニヤニヤしながら下ネタ言ってくる以外、かっこいい大エースでした。余裕っしょとか言う割にはめちゃくちゃ努力するところが好きです。そしてどの試合でもちゃんとエースでした。実力もそうだけどエースの覚悟、自信みたいなものをすごく感じた。調子がいつもよりよくない時も誰よりもハードにプレーしてるのが伝わって、なら俺も頑張ろうって思えました。竹本のストイックさはやっぱり部内でも随一だと思います。浪人中もずっとハンドリングしてたエピソードが好きです。セットで一緒にやった時も色々教えてくれてありがとう。チーム、セット、そして竹本自身のレベルアップを全部できていたのはすごかった。
範子
入替戦前くらいの練習に危機感をもっていたのは範子だけだったのをよく覚えてます。同期グルで指摘してくれて確かにそうだなとはっとした。あの時喝を入れてくれてありがとう。そしてプレーで返せなくてごめん。小さいところにすぐ気づくのは範子のすごいところで、中村さんが吐きそうなのを察してすっと袋を出した時はさすがだなと思いました。スタッフの立場からチームのために足りないことをいっぱい伝えてくれてありがとう。今年一年は特にアイスマンの鑑でした。
慶
いろんな話をしましたね。悩むことも多かったと思うけど、もやもやすることは放って置けない分、慶の言葉には嘘がなかった印象です。慶の情熱の爆発力は凄まじくて声の通りもよすぎです。特にウエストとか観客席から聞こえる慶の声に背中を押してもらえる場面が多かった。今度は慶の情熱がどこへ向くのか楽しみです。また血迷ったりもやもや発生したりした時はいつでも連絡待ってます。
以上