【氷上の追憶2020 VOL.4】菅直樹

大阪星光学院 DF #66 菅直樹


4年に及ぶ部活生活を振り返りまず思ったのは、最後の一年、部活動をやりきることが出来て本当に幸運だったなということでした。社会的な背景はもちろん、僕自身大きな問題を抱えており、正直部活動を最後まで続けることは難しいと感じていました。にも関わらず、特別大会および双青戦を全勝で終えるという最高の形で引退できたことは、本当に多くの方々の支えがあったからに他なりません。はじめに感謝申し上げます。

さて、自分の部活人生は決して順風満帆なものではありませんでしたし、入学時に抱いていた理想の部活人生からも遠くかけ離れたものであったと言わざるを得ません。何度も心の折れるような壁にぶち当たりました。上達スピードの速い同期に置いて行かれる焦り、心底憧れる先輩方のように自分はなれないと気づいた絶望、病気、怪我、突然の活動停止。恥ずかしい思いは数えきれないほどしましたし、自分の言動を悔いて眠れない夜も多々ありました。

そして去年、本気で部活を辞めようと思いました。アイスホッケーならどこでもプレイできますし、一番の目標に据えていた七帝戦は中止になってしまいました。もう自分を留めておくものは無いはずでした。ところがどうしても踏ん切りがつかず、辞める連絡を入れることが出来ませんでした。どこか責任を感じ、辞めたくない自分がいたのだと思います。辞めたい自分と辞めたくない自分の間で悩み、徐々にその現実を直視しないようになり、余ったエネルギーを注ぎ込むかのようにオンライン授業と就職活動に没頭しました。しかしながら、結局寝かせておくことに決めた自分の心は、時間が経過するにつれて辞めない方に傾き、当時の自分は背中を押してくれる人をただ待ち続けていただけでした。そして、その背中を押してくれるような人達が周りにいたこと、それこそが部活を通して得た財産であり、自分にとって一番の幸運であったと思います。雲隠れから突然復帰した自分を温かく迎え入れてくれたチームメイトは輝いて見え、この人たちの力になりたいと切に思いました。

「隣の芝生は青い」という言葉が常にどこかに潜んでいるような4年間でした。環境を言い訳にして、より良い人生を思い描きました。なぜ何かしらのアクションを起こさなかったのか、必死に足掻いてみなかったのか後悔することもあります。今思えばそれは大きなチャンスであって、それをみすみす逃していたのでした。自分が歩んできた4年間は間違いだらけだったかもしれません。少なくとももっと良くすることはできたはず。それでも、僕はそう悪くなかったなとも思うのです。東京に出て、今まで見たこともないような優秀な人たちに出会えたこと。心から尊敬できる人たちに出会えたこと。本気で勝ちたいと、ともに思える人たちに出会えたこと。一緒にいて楽しいと思える人たちに出会えたこと。この部に入らなければありえなかったことばかりです。

何より、アイスホッケーというエキサイティングで奥深いスポーツに出会えたことが最高の収穫だったと思います。人生で初めて一つのスポーツに真剣に打ち込むという経験をさせてもらいました。強者に打ちのめされ、それでも戦うために何が必要なのか考えるきっかけを授かりました。辛いことも沢山ありました。それでも綺麗なパスを繋げた瞬間や体を張って相手のドライブを止めた瞬間、ゴールを決めた瞬間。そんな一瞬一瞬に大きな喜びを感じました。それらの断片はアイスホッケーに向き合った証として誇るべきものだと思いますし、これからも自分の中に残り続けることと思います。自分の満足できるレベルにはまだまだ達していないので、納得のいくまで競技を続けるつもりです。いつまでも気迫あふれるプレイが出来ればなと思います。

今だからこそ言えることではありますが、アイスホッケー部に入って良かったと思いますし、生まれ変わっても僕はアイスホッケーをプレイするでしょう。

ふと自分は本当に成長できているのかを考えます。別にこういった成長がしたいと決めているわけではありませんが、自分の芝生を愛でることが出来るくらいにはなれたのかなと思います。寂しいことに、もう手入れすることは叶わず、芝は時の流れとともに自然に伸びるだけとなりました。この思い出がどのように変化するのか、今の僕には分かりませんが、きっと何らかのカタチに変わるのでしょう。それを肴に酒を酌み交わす将来が楽しみで仕方ないのです。

今年以降、社会にとっても自身にとっても大変な年が続くことになるかもしれませんが、学んだことを存分に生かし、この4年間に恥じぬよう精一杯生き抜いていこうと思います。

最後になりますが、この4年間本当に多くの方々のお世話になりました。他人に迷惑をかけてばかりでどうしようもない僕がアイスホッケー部での活動を全う出来たのも、関わってくださったすべての方々のおかげであります。皆様がいらっしゃらなければ、間違いなく今の僕はありません。改めて、心よりお礼申し上げます。

本当にありがとうございました。