【氷上の追憶・2025 VOL5】當眞 嗣丈(とうま しじょう)

 

 

工学部/昭和薬科大学附属
DF #69  當眞 嗣丈

 

「氷上の追憶」を読んでいる皆さん、お久しぶりです。
先日東大アイスホッケー部を引退しましたDF #69 當眞嗣丈(とうま しじょう)です。

引退した今、僕の朝はランニングから始まります。 テスト勉強の合間にはジムに行き、なぜか引退前よりもハードな生活を送っています。それは、自分の中から「アイスホッケー」という巨大な柱が抜けた喪失感を、必死に運動で埋めようとしているのかもしれません。どんなに追い込んでも、「試合に勝つ」という熱い文脈は存在しません。現役の頃を思い出し、少し寂しく感じています。

 

この4年間、僕にとってアイスホッケーとは何だったのか。これからチームを背負う後輩たちへのメッセージも込めて、ここに書き残そうと思います。

 

  1. 支えてくれた全ての人達へ

当たり前のことではありますが、感謝は欠かせません。
僕たちはいつも、自分たちの知らないところで支えられて生きています。

アイスホッケーというスポーツも同じで、仲間、コーチ、スタッフ、他大学の方々、そして大会を運営する連盟の方々、数多くの人の手と信頼の上に成り立っています。その支えへの感謝を確かに自覚し、それに見合う謙虚さと態度で向き合うべきだと思います。

自分自身、十分にできていなかった部分も多いですが、ここでできる限りの感謝を書き残します。

 

 

両親

東大に入るまでに、時間もお金も、たくさんかけてくれたと思います。特に沖縄から東大に行く人は一握りで、環境にも運にも恵まれすぎていたと今でも感じます。
そんな中で、運動会に入るという一見合理的ではない選択をした自分を信じて、物理的な距離が離れていても、金銭面から支えてくれたことに感謝してもしきれません。防具やスティック、部費、遠征費、交通費、4年間の費用のうち大きいところだけを概算しても総額150万ほどになります。
その上で、大学2年を2回やってしまって不安にさせたことは本当に申し訳ないです。でも、本気でホッケーに向き合った経験と、そこで得た感情は、自分にとってとても大きな財産になりました。胸を張ってそう言えます。

してもらったことが正しかったと、未来で証明できるように。 恩返ししていきます。

 

 

監督・コーチ・学生コーチ

檀野さん

忙しい中でもチームに向き合い、貢献しようとする姿勢に、僕は大きな信頼を置いていました。試合前に訪れて、プレイヤーだけでなくスタッフやドアマンまで声をかけてくださる。その一言に鼓舞された人は、僕を含めてたくさんいると思います。

幹部代になった年の初めには決起会を開いていただき、チームの方向性を話し合うきっかけになりました。檀野さんなしに、僕たちの一年はありませんでした。本当にありがとうございました。

 

 

久保さん

僕が入部した頃はコーチがおらず、学生がチームを統率し、練習メニューを考えていました。自分のプレーに集中しながら、教育や組織のことまで背負うのは、学生にはあまりに難しいでしょう。松井さん・中村さんをはじめ、当時の先輩方の苦労は計り知れません。

そんな中で久保さんが加わってくださり、「ホッケーとは何か」を教えていただいたことで、チームが向かうべき方向が少しずつ揃っていったと思います。新卒で忙しいはずの一年目から練習に乗ってくださり、金夜の飲み会でもソフトドリンクで早めに切り上げて練習に来てくださったこと、今振り返るほどにありがたかったです。二年目以降も、仕事が忙しい中で大会前には平日でも練習に来てくださり、その姿勢に何度も気合が入りました。それほどまでに僕たちに時間を割いてくださった久保さんに、どうしても一部昇格の景色を見せてあげたかったです。

一年生の頃、久保さん主催の練習会にも何度も通わせていただきました。ストップもできず壁に突っ込んで肩を脱臼したのも、今となっては遠い昔の思い出です。 久保さんは、僕のホッケー人生において欠かせない存在であり、プレイヤーとしても人としても理想の存在です。本当にありがとうございました。

 

 

増子

一年生ながら、僕にとって頭が上がらないほど信頼できる存在でした。スキルはもちろん、コーチとして堂々と発言し、チームのために責任を取る姿勢は、普通できるものではないです。試合中も的確なアドバイスをくれて、何度も助けられました。

特に印象に残っているのは秋大会の筑波戦。自分のプレーがチームに噛み合っていないときに、僕を外して3人回しにした判断です。あれがあったからこそ、最後の最後まで上手くなろうと貪欲でいられたし、自分がもう一段変わるきっかけになったと思います。 増子が引っ張っていく東大アイスホッケー部が本当に楽しみです。今までにないくらい強い東大を実現してください。ありがとう。

 

 

竹本さん、なおきさん

「乗りすぎです」って言いたくなるくらい練習に乗っていただきました。ホッケーに一枠乗るだけで生活習慣が崩れて体が壊れることを、身に沁みて理解している分、大変感謝しています。駒澤や神奈川大学前の練習では、二人が乗ってくれたからこそ「二人より怖い選手はいない」と思えて、気持ちが少し楽になったのを覚えています。本当にありがとうございました。

 

 

牛久保さん

中村さんの代から本格的にコーチとして参加してくださり、チームが緩い雰囲気のときに締めてくださったり、「ホッケーは楽しむものだ」と教えてくださったのは牛久保さんでした。このカルチャーは、今の東大ホッケー部の文化として確実に浸透していると思います。牛久保さんは、僕たちが理想のチーム像を見失いかけたとき、軌道修正してくれた存在でした。個人的にも仲良くしてくださり、本当にありがとうございました。研磨することがあれば、できるだけMAXにいこうと思います。

 

 

松井さんの代の皆さん

僕たちが一年生の頃、皆さんは自分たちの練習を休んでまで、毎回の練習で誰かしらが僕たちのスケーティングやハンドリングを見てくださいました。あの一年目の密度の濃い時間が、僕たちの強固な土台になっていると今でも実感しています。

また、当時の自分は未熟で、ご迷惑をおかけした場面も多かったと思います。それでも練習だけでなく、プライベートでも本当によくしていただきました。小池さんにご実家へ招いていただいたことは特に印象に残っています。誘っていただけたことが素直に嬉しかったです。大森さん、ゆまさんにも何度もご飯に連れて行っていただき、引退した今も気にかけてくださることに、感謝しかありません。ありがとうございました。

 

 

中村さん・松本さん

お二人の代では、2年生でホッケーもままならなかった僕を練習試合に起用してくださり、貴重な試合経験を数多く積ませていただきました。松井さんの代が抜け、試合経験の少ない未経験者が多く出場する状況の中で、未熟でうるさい後輩たちをまとめてくださったこと、本当に感謝しています。

また秋大会では、松本さんが怪我で出られない中、自分が筑波戦・駒澤戦で守りきれずミラクルを起こせなかったことが、今でも悔しくて情けないです。 七大戦で復帰し、守り切った松本さんの姿は本当にかっこよく、同じDFとして尊敬していました。ありがとうございました。

 

 

木村さんの代の皆さん

具体的なエピソードは挙げればきりがないので省略しますが、プレイヤーとしても人としても、ずっと背中を追い続けてきました。 本来、辛く苦しいはずのアイスホッケー部が、いつの間にか自分にとって居心地のいい場所になっていたのは、皆さんのおかげです。

一年生の頃からプライベートでも本当に良くしていただき、大学生活そのものを彩っていただきました。入部した時から今の今まで、そしておそらくこれからもお世話になると思います。どうぞよろしくお願いします。本当にありがとうございました。

一番近くで支えてくれたのは慶です。
自分が追い込まれたときに、そばで寄り添ってくれてありがとう。

 

 

後輩達

今までついてきてくれてありがとう。届かなかった「一部昇格」への夢は君たちに託します。

 

 

尾畑、尾畑の持つ強さには、これまでずっと助けられてきました。自分を信じて、そのまま突き進んで。

原、ふざけてるイメージが強いけど、やる時は強い責任感を持って取り組む腹を、いつも頼りにしていました。未経験最強のDFになってください。

日高、バックスケートはもう俺よりも綺麗だよ。日高が努力してるのは知ってるから、来年の活躍を楽しみにしてる。

林、一緒にゴールを守ってきたこの2年間、本当に頼もしかった。来年も東大のゴールを守り続けてください。

石川、部活のことも、それ以外もたくさん話したね。同期とも後輩ともたくさん話して、絆の強いチームを作ってください。

水野、このままの勢いでチームを引っ張ってください。後輩から憧れられるかっこいい水野先輩に期待してます。

あやか、かっこいいスタッフ長としての背中を後輩達に見せてあげてください。

江川、お前は間宮さんを越えられる。また海外旅行行こう。

おか、来年は必ず覚醒してくれ。もう既に持つべきものは持ってるはず。

鬼塚、大学でも色々話したね。来年は安定感のあるセンターとして君臨してください。

 

 

増田、車でもいっぱい喋ったし、筋トレもよく行ったね。腰の状態には気をつけて、来年はチームのエースを目指して、ストイックに突き進んでくれ。

宮田、ホッケーへの真摯な姿勢と、周囲への気配りができる宮田は、きっとすごい選手になるはず。尾畑たちの代を、その力で支えてあげてください。

加藤、肩の怪我という逆境から、驚くべきスピードで上達した姿が印象的です。来年もさらに成長して、僕たちを驚かせてください。

合六、センスは十分にあるからもう化けるだけだね。ポテンシャルが爆発するのを期待してる。

みゆちゃん、周りを明るくする天性の魅力があると思います。その明るさで尾畑の代を支えてあげてください。

りなちゃん、マネージャーとしてとても信頼しています。チームを良い方向へ導いてあげてください。

 

 

たいせい、最高のペアだった。ありがとう。たいせいがこれから成長して、チームを引っ張っていくのを見守っています。

原(怜)、DFというポジションを選んでくれてありがとう。自信を持って取り組んでほしい。

新井、もうすでに頭角を現しつつあるね。来年は試合で活躍するのを楽しみにしてる。

吉井、吉井ならキーパーをものにできるはずです。来年は林から全てを吸収して、新しい東大の守護神になってください。

小坂、ロボコンもホッケーもどちらも全力でがんばる小坂を応援してる。来年は春大会からガンガン点取ってね。

香取、留学先で体を仕上げてきてください。ひと回り大きくなってから帰ってきてください。笑

めいちゃん、尾畑の代を支えてあげてください。めいちゃんの力が必要不可欠です!

 

 

同期

色々迷惑もかけたけど、みんなと過ごせた4年間は自分にとって言葉にできないほどかけがえのない時間でした。ありがとう。これからもよろしく。

 

澤邊

1年間、主将としてチームを率いてくれてお疲れさま。
最後の最後まで、人一倍根気強くやり遂げる姿は、本当にかっこよかった。どうにか力になろうと思って動いてきた一年だったけど、結局は澤邊の背中に引っ張ってもらった気がする。
いつも俺のとりとめもない話を聞いて、それってこういうこと?って深掘りしてくれるのが嬉しかったです。これからもいっぱい話しましょう。

 

廣川

廣川は一年生の頃からライバルであり、自分の原動力の一部でした。 今年は同じAマークでも、チームをぐんぐん引っ張る存在で尊敬してた。 身体能力も高いのに、筋トレも陸トレもすんごい頑張るストイックさ、、。
ただ、ゴーカートに関してはわたくしに圧倒的なセンスがあるので、出直してきてください。

 

水田

水田のガッツあるプレーは三年生の頃から大好きだったよ。最後は点の取れるFWになってかっこよかった。飲みに行くときはいつも水田と一緒で、楽しみ抜いた気がする。社会人なってもいっぱい行こう。

 

スンミン

4年目は間違いなく攻撃の要だったね。スンミンの派手なセレブレーションが好きだったよ。これからはどんどんプライベートでも誘っていくから、断らないでね。

 

3年間スタッフをやり続けてくれてありがとう。誓がいなかったら僕たちのチームはここまで強くはなれなかったはずです。誕生日にくれたスタバカードのお返しは必ずします!

 

沼田

昭和戦で沼田がゴール決めた時は、自分が決めたんじゃないかってくらい嬉しかった。
最高のゴールをありがとう。
一緒にフリスケに何回も行ったのが懐かしすぎるね。沼田がいたから頑張れたと思う。また行こ。

 

塚原

僕が精神的に落ち込んでいた時、塚原の存在にすごく救われました。秋大会はなかなか機会がなかったけれど、春大会や七大戦でペアを組んでリンクに立てて良かった。
来年一緒に大学生だね。近いうちにご飯行こう。

 

宇佐美

部活にいた時は、いつも率先して動いてくれたね。ホッケー部を離れてからも、自分の信じた道で挑戦を続ける宇佐美のことを、一人の友人として尊敬しています。

 

太田

部活やめてから本当に何してるかわかんないからご飯でも食べに行こう。これ読んだら連絡してね!

 

きみこ

きみこの明るさは、間違いなく部内を照らす存在だったよ。真剣な話から他愛ない話まで、たくさん語り合ったと思います。少なくとも僕は、きみこからたくさんの元気を分けてもらっていました。

なごみ

三年の春合宿で歯がかけたときに、嫌な顔せずに一緒に病院を回ってくれたときは本当に助かりました。部活を離れてからはなかなか会えていないけれど、いつかまたゆっくり話せる機会を楽しみにしています。

 

 

  1. 理想に届かなかった自分への決別

今までの4年間を振り返ると、良いように言えば、非常に充実したアイスホッケー生活だった。 だが本音を言えば、理想には遥か及ばなかった。 ここからは、いわゆる「後悔」を書き連ねる。過去の自分、そして未来の自分に向けて。

一昨年の入れ替え戦。100人を超える観客の視線、緊張と寒さで震える体。人生で最も熱い気持ちで臨んだ試合だった。点差以上に、実力の差は残酷だった。ポゼッションの大半は神大に握られ、必死に守ってブルーラインを割っても、攻撃のターンは回ってこない。20分ゲームで耐え続ける苦しい時間が続いた。

応援に来てくれた高校時代の先輩や同期に、自分の通用する部分を見せることは叶わなかった。 体を使った守りには自信があったはずだった。しかし、神大のフィジカルは想像以上で、これまで練習してきた強度では全く歯が立たなかった。 パックを奪えても、即座に相手のプレッシャーに晒され、自分がパックを保持できる時間はほとんどなかった。

「このチームなら一部昇格できる」と本気で信じ、夏合宿ではチームは最高の仕上がりで、秋大会を通じて自分自身も手応えを感じていた。 それでも、届かなかった。今までの練習が全て無駄だったとは思わない。 それでも、このチームでのチャレンジが終わったことを悟り、涙が溢れ出た。

 

年が明けて僕はこの部活の幹部になった。

あの敗北から学んだはずだった。今年の入れ替え戦で勝つには、これまでと同じ戦力では足りない。 竹本さん、なおきさんが抜け、澤邊もFWに転向し、自分がDFとしてチームを支える必要がある。 しかし、その時の自分は、本当の意味では何も分かっていませんでした。全力で自分のできていることをしているつもりでしたが、幹部代としての忙しさ、組織の問題、大学の講義……。僕はいつの間にか、誰にでも言える「安易な言い訳」を心のどこかで繰り返していました。

結果的にチームとしては、見事に関東二部リーグで春大会、秋大会をともに優勝し、一部入れ替え戦出場の切符を掴んだものの、個人としては、二部の筑波や駒澤を相手にしても「安全に守り切れる」という信頼を勝ち取れないまま、立ち止まってしまいました。

 

今振り返れば、やるべきことはシンプルだったはずです。

  • ランニング:走ってから風呂に入るまでのたった1時間弱。
  • ハンドリング:メニューを決めて毎日15分。
  • 筋トレ:週4回の各30分。
  • フィードバック:毎練習、コーチや監督から1つもらい、後輩達に1つ返す。
  • ニ週に一回のフリスケとビジター

どれも毎日の隙間時間にどうにか組み込めるはずです。どうすれば上手くなれるか、その答えは小さな基礎の積み重ねである。それなのに、僕は目の前の選択肢から逃げ、その場限りのテクニックに逃げようとしてしまった。

 

僕に本当に足りなかったのは、難しい理論でも才能でもなく、「やるべきことを決めて、ただやる」という、愚直に規律をこなすことでした。

 

年の初めの部員総会で、竹本さんが全く同じことを言っていたことを、今になって思い出した。思い出すにはあまりに遅すぎた。

 

  1. 最後に

アイスホッケーは残酷なまでに難しく、誰もが正解を探してもがいています。それでも僕は、体育会らしく「できることはすべてやりきった」と胸を張ってこの部を去りたかった。

自分で決めた約束を、何がなんでもやり切ってみてほしい。そして、それを何かに記録してほしい。積み上げた自分との約束こそが、本当に大事な試合で自分を支える自信になる。

理想に届かなかったこの4年間の痛みを、次こそは別の形で「自信」という形に書き換えたいと思う。

 

 

それでは最後に、僕の好きな思い出の写真を添えて、「氷上の追憶」を締めさせていただきます。 4年間、本当にありがとうございました。

2026年1月27日 東京大学運動会アイスホッケー部 DF #69 當眞嗣丈