教養学部/朋優学院
FW #87 中村 勇太
2023 CAPTAIN
お久しぶりです。昨年度主将の中村です。
まずはOBOGコーチ陣の皆さんに感謝をさせていただきます。
OB,OGの皆さん。
たくさんの応援ありがとうございました。日頃からOB会費という形で支援してくださっているだけでなく、試合会場に来てくださって東大側の観客席を盛り上げていただいたり、メールで激励のメッセージをもらったり、総会で直接会ったときには笑顔で頑張れと言っていただけたり。こんなに多くの人から助けてもらっていると実感できることはそうそうないことだと思いました。試合に勝って一緒に喜び、負けて一緒に悔しがってくれるサポーターがいるというのは選手として心強かったです。僕がアイスホッケーをして来た中で、東大アイスホッケー部は最も恵まれたプレー環境でした。そんな僕もOBとなって現役を応援する番になりました。OBとして東大アイスホッケー部と関わっていく今後の人生に思いをはせつつあります。
檀野監督。
大人ではあるけれどまだ社会に出ていない僕たち学生にとって、見てくれる大人がいるというのは大きな安心感を与えてくれていました。特に今年は多くのやり取りの中で檀野さんの部活というものに対する思いが感じられ、カッコいい大人のあり方の一つを見せていただきました。監督という立場でどっしり構えながら、現役たちの全員で真剣勝負する場を守る。そんな檀野さんが監督でよかったと本当に思います。ありがとうございました。僕の後輩たちもよろしくお願いします。
遠藤ヘッドコーチ。
試合中のベンチでのアシストやピリ間の助言、練習に来ていただいたときの指摘など遠藤さんの的確な仕事に助けられてきました。遠藤さんの本気で現役の勝ち負けに寄り添う姿勢から、東大アイスホッケー部への愛を感じていました。自分がプレーするチームを愛している人がいるというのは嬉しいことです。「価値のあるチーム」にするのはもちろん現役部員の仕事ですが、今はOBとしてチームを愛することによって遠藤さんは実践しているのでしょう。遠藤さんにヘッドコーチをやっていただいて良かったです。ありがとうました。
大囿さん。
今年もコーチとして現役を支えていただきありがとうございました。大囿さんの言動から感じ取ることができる部活に対する真摯さから、大囿さんが主将をしていた時を直接は知りませんが、主将像というものに関してインスピレーションを感じ取っていました。
部活人生で印象深いことをいくつか振り返りたいと思います。
1年生。
・僕が公式戦で初得点した時、菅さんがとても喜んで記念にパックを買ってくれたのを覚えています。ずっと菅さんや健さんから期待してもらっていたので僕の嬉しさも一入でした。
・短い期間しか一緒に部活ができないにもかかわらず、遠藤さんの代の当時の4年生方は松本と僕にもよく話しかけてくれる優しい人が多かったので卒部された時は、4か月の付き合いとはいえとても寂しかったです。
2年生。
・春大会の優勝は嬉しかったけど、その後に部活の雰囲気が悪くなった時は驚きました。当時、遠見さんの代は難しい問題を抱えていたのだと後になってからわかりました。問題を認識していないばかりか、自分は不満を漏らすだけでした、申し訳ありませんでした。遠見さんたちのもがく姿を見て、執行代の大変さを理解するができました。
・自分のチームではありませんが、秋大会で一橋が上智に勝った試合は最も心を打たれたゲームでした。一橋大学の4年生たちは着実に努力を積み重ねてきたことが分かるほど上手であり、良いホッケーをするチームでしたが、それでも上智に勝つのは厳しいのではないかと思っていました。実際2ピリを終えて一橋が負けていました。しかし、彼らがミーティングしている様子を見ると、笑い合っていたのを覚えています。その後彼らは3ピリで逆転勝利しました。あの柔らかさと一体となった雰囲気は勝つチームに必要なメンタルの在り方なのかもしれないと、学ばせてもらいました。
3年生。
・三冠達成。危うい試合もありましたが、結局は松井さんたちの辣腕によってなすべくして成し遂げられたのだと思います。正直、松井さんたちの代が1つ上であったということから、僕は1年生の時からこの人たちに頼りきっていこうと考えていました。プレー面では、経験者はもちろん大学始めのプレイヤーたちの上達も著しかったし、運営でも仕事のできる人が集まっていると。
・しかし、春大会の後から松井さんたちがいなくなることに気づいて不安を感じはじめました。そこで、その夏のオフは特にホッケーに集中できる環境になったので練習しまくりました。そんな中オフ明けの待ちに待った夏合宿でしたがコロナにかかっていけなかったのはさすがにショックでしたね。結局、その後のシーズンは戻らない体力と松井さんたちがいなくなるという不安との闘いでした。
・入れ替え戦、悔しかったですね。
4年生。
・正直に言うと、試合で結果を出すという意味ではプレイヤーとしては別に今まで通り頑張ればよいはずなのでプレッシャーは何も感じていませんでした。主将としては緊張感を持っていたのですが、結局は後輩たちにたくさん助けてもらえていました。4年生として後輩たちには「与える側」であるべきだったとは思うのですが、みんなとの交流を通じて僕の方がもらっていると感じることが多かったです。
・三冠の目標、達成できなかったのは悔しいですね。たとえ世界中の木を切り倒して紙をつくっても書ききれないほど悔しい思いがあったとしても、僕にもう次はありません。リベンジお願いしますよ、後輩たち。
次に、「部活」というものに考えたことについて。
僕が1年生の時、9月に初めて練習に参加させてもらってから、仮入部で1か月近く入部するのかしないのか曖昧な態度の僕をリンクにのせ続けてくれた先輩方には頭があがりません。本当の所はずっと前から入部は決めていたました。東大アイスホッケー部でプレーをするというのは受験生の時からのモチベーションでした。しかし、いざ部活というものにいってみると、あまり僕が馴染みのない集団のような感じがして気おくれしたのです。当時はその原因がよくわかっていませんでしたが、今からするとそれは「部活」という単語が指す意味がよくわかっていなかったからだと思います。部には色々なタイプの人がいて、別に仲良し集団というものではありません。大人の年齢の人たちが各々の目的意識を持って集団を構成しています。また最後の学生スポーツを本気で取り組みたいという強い志で入部する人もいます。それが部活でした。ただ競技をノー天気にやっていればいいというものではなく。また、僕がそれまで経験してこなかった上下関係もしっかりあり、平たく言うと「大人っぽい」集団だと当時は感じました。ジュニアチームの時と同じような感じで楽しくホッケーできたらいいなぁぐらいの子供っぽい気持ちでいったので、ギャップを感じてすぐには入部宣言をすることができなかったのだと思います。
正直に言うと僕はそれまでの人生でマジっぽい思いはあまり人に伝えたことがなかったように思います。そして、他人の気持ちもあんまり感じられてこなかったかもしれません。さらに入部直後は人と話さない浪人期を終えたばかりというのもあって、コミュニケーションを自分から取ろうという意識が(少し)希薄でした。そんな僕が集団競技を真剣にやる部活に入ってよかったと今では思っています。
現在までの部活人生を振り返えると、多くの人がアイスホッケーや部活にたいして本気の思いを表現していました。例えば、中川さんが本気で悩んで退部まで考えたり、それを同期の人たちが自分の葛藤を抱えながらも熱い思いで引き留めたり、木村が上達のモチベ高いっすよとカッコよくマジな顔で言ったり、川口が貪欲に色んな人に教えを求めて活発にコミュニケーションを取っていたり、尚紀が上智戦の敗戦に悔しがってそこから積極的にチームのために動くようになったり、他にもたくさんあります。真剣にアイスホッケーをする環境というのは、他人の本気の思いにふれることのできる場であったのです。主将になってからは特に人の思いを感じるようになりました。部員との交流は僕に新しい視点や考え方をもたらしてくれました。それが僕にとって部活でえた得た価値があるものです。これからも折に触れてみんなの言葉を思い出すことになるのでしょう。
そのように、色んな人がいる部活で本気の思いが交差する中を貫く1本の軸があります。それはアイスホッケーが好きであるということ。そもそもホッケー愛がなければ、深夜の練習なんかやってられません。後輩たちは、壁にぶつかったときなどアイスホッケーへの愛を思い出してください。
後輩たちへ。
一緒にホッケーをしてくれて本当にありがとうございました。みんなのホッケーが上手くなりたいという情熱をいつも眩しく感じていました。積極的に僕にコミュニケーションを取ってくれる人が多く、良い意見がもらえて部活の運営や練習など助かりまくっていました。
1年生たちは練習のゲームでも毎回コミュニケーションを活発に取っているので、将来良いチームを作ってくれるようになるだろうと期待しています。2年生たちは、今年からさっそく公式戦で活躍してくれました。トレーナーたちも、教育期間が短い中ゆまさんがいなくなっていきなり、最上級生トレーナーとしての働きを求められることもありましたが頑張ってくれました。
3年生たち。ホッケー面ではもちろん、部活運営についても4年生が2人だというハンディキャップを感じさせないぐらい活躍してくれました。やはり、たくさん意見をいってくれるのがありがたかったです。特にマネージャーたちは4年生がいない中でよくやってくれました。先を読んでサポートしてくれているときも多く、積極的に動いてくれるのがありがたかったです。
木村たちがとうとう執行代となったのですね。曲者ぞろいの学年な感じはありますが、頼れるメンバーだと思います。次世代の東大アイスホッケー部をよろしくお願いします。
そして、松本へ。
僕が仮入部で部活に参加している最中の9月の中旬、新入生が4人しか参加していない新歓氷上後、どうせ誰も入部しないだろうという空気を切り裂いて、あっけらかんと入部宣言をし、みんなをどよめかせた奴がいました。最初、僕はそいつが同期というものになることなんて全く考えが及んでおらず、あの空気で軽々と手を挙げる変な人もいるんだなぁぐらいにしか思っていませんでした。今から考えてみると、そういう周囲の目線を気にせず自分を貫く人でないと僕との同期はうまくいかなかったかもしれません。
今ではなくなってしまった高田馬場のリンクの端で一人ふらふらとスケートして、何度も転んでいる松本の様子は鮮明に思いだせます。僕が経験者だというのもあり、同じスタート地点からの競争相手になれず、だからなのか松本にどこまで踏み込んでいけばいいのか僕は距離感を掴みかねていました。でも、松本だからこそ同期がどうとかそんなことは気にせずにアイスホッケーに情熱を注ぎ続けることができたのですね。4年生になったときには自慢のディフェンスになってくれました。二人でビデミしたのがよかったのでしょうか(願望)。
一つ謝りたいことがあります。松本を評価していることを自分の口でちゃんと伝えればよかったと。。。言葉足らずな僕でした。言わなきゃ伝わらないのに、似た者同士の松本だからと、無意識に胡坐を書いていました。(だから、部員全員の良い所を追憶で述べようと思ったのですが長くなりすぎるので諦めました。みんなと直接会ったときに話していけるようにします)
たしかに同期が2人だけというのは微妙だっただけど、相方をやってくれるのは松本でなければありえなかったです。ありがとうございました。
父と母へ。
ラストイヤーもお世話になりっぱなしでした。毎試合見に来てくれてありがとうございました。良いプレーを見せたいというのはモチベーションになっていました。
次に自分の変化について。
入部前は、僕は社会に出ることを拒んでおり、「他人」と生きることに否定的でした。卒部した現在は、他人がいてもいいんだと肯定的に捉えて社会に出ることに期待しています。(そうです、エヴァです。しかし、ここで語りだすと追憶が終わらないので割愛します。)そう思えたのはやはり、みんなと本気でホッケーをして、人の思いを感じることができたからです。
これからの自分について。
引退をして、一息ついてみるとそんなにホッケーをしたがっていない自分の気持ちに驚いています。今まででアイスホッケー熱が冷めたことがないので、これが一過性のものなのかどうかはよくわかりません。しかし、自分にも相手にとってもキャンパスライフをかけた真剣勝負であるという共通認識の上で成り立っていた学生スポーツらしい熱い試合はもうできないかもしれないと思うと寂しかったです。学生スポーツの貴重さをこのように知ることになるとは思っていませんでした。とかく僕はアイスホッケーではない次の目標に向かって頑張っていきます。
しかし、ホッケーと関わらなくなることはないと直観している部分もあります。これを読んでいる皆様、これからもホッケーを通して僕と仲良くしてください。
最後に、
アイスホッケーを通して僕と関わってくれたすべての人に
ありがとうございました。