【決意2023 FINAL】中村 勇太

教養学部/朋優学院
FW #87 中村 勇太
2023 CAPTAIN

はじめに、父と母に感謝をしなければいけない。多くのジュニアから始めたプレイヤーにとって親の協力抜きでアイスホッケーをするというのは途轍もなく困難である。僕がアイスホッケーを始めてから、母さんは自分もホッケーしたいのを我慢して僕に膨大な労力を割いてくれた。小中学生時代、宝塚と神戸の間の遠距離を夜中遅い時間に何度も車で送ってくれた。横浜に引っ越してきて環境が変わった中で不貞腐れていた僕の手を引っ張ってホッケーを再開させてくれた。費用のかかる大会遠征にも数え切れないほど連れていってくれた。これらは氷山の一角で、その他にも数えても数えきれないほど多くの援助をしてくれたし、僕の知らない苦労もあったに違いない。そして現在、大学生になってもなお助けられていると感じる。お父さん、お母さん、今までありがとうございました。そして今年も良いシーズンにしてみせるので応援よろしくお願いします。また、鹿児島の祖父と祖母へ、去年は試合を遠くから見に来てくれてありがとうございました。普段からもAIカメラを通して僕のプレーを見てくれて、さらには色んなアドバイスを与えてくれてありがとうございます。今年もお願いします。そして妹の優里へ、生まれてきてくれてありがとう。最後に尼崎のおじいちゃんへ、愛してくれてありがとうございました。

 

そして家族以外に僕を支えてくれているたくさんの人たちにも謝辞を述べたい。平素よりたくさんの支援をしていただいている東大アイスホッケー部のOB・OGの皆さん方や東京都アイスホッケー連盟をはじめ、僕のジュニア時代からのコーチやチームメイト、ホッケー関係以外でも、今まで僕に関わってくれた人全員。人との縁は運命的だとは思わないが奇跡的だと考えている。そんな奇跡的な人とのつながりを通した総体として今の僕があり、多くの人に手を差し伸べられ、助けてもらいながら現在までアイスホッケーをできていると感じる。感謝してもしきれない。ありがとうございます。

 

自己紹介が遅れました。この度、東京大学アイスホッケー部の主将となりました中村勇太です。二浪したので現在23歳です。おかげでまだこの部でプレーできます。2023年は当たり前が崩れる年となります。アニメ「ポケットモンスター」では主人公のサトシが引退し、我が東大アイスホッケー部では長らく強い東大を支えてきた頼れる松井さんの代が引退してしまった。しかし安心してください!まだ僕がいますよ! 強者であり続けるために、ここから始めましょう イチから-いいえ、ゼロから。(引用「リゼロ」)

 

さて、事故紹介が終わった所で今年の僕の主将として掲げるチームの目標について。2つ大きな目標がある。一つ目は当然ながら、春大会、秋大会、七大戦の三冠である。おそらく2部以下のチームにおいて最も去年との戦力差が大きいのが我が部だ。さらに他チームの戦力を考えるとなおさら状況は悪い。そのような状況下でこれらのタイトルをもう一度取るというのは雲に手をかけるぐらい大変かもしれない。勝ち続けることの難しさをこの部は幾度となく痛感してきた。しかしだからこそ、今年三冠を取ることには東大アイスホッケー部史上最も大きな意味がある。経験者の数は例年に比べると多いが、去年と比較すると大学始めのプレイヤー中心の平年のチームへと舵を切りつつある。そんな中で、今年2部以下で勝ち続けるという経験とノウハウを積むことができれば、これからの数年間は強い東大であり続けることができるはずである。

 

2つ目の目標は、秋大会でdivisionⅠBとの入替戦に出場し、奇跡を起こすことである。昨年の立教戦はチームとして最高潮に盛り上がった。見たことのないほど多くの観客、保護者たちからのエール、スタッフの作ってくれた応援ビデオ。あの時点でチームが出せる力は出しきった。結果は負けて悔しいがとても楽しかった。もう一度あの舞台に立ちたい。そして次こそは勝ちたい。あの日見た悔しさとリベンジの心意気のフィルターごしの東伏見の空を僕は忘れない。僕のわがままかもしれないけど、部員のみんなと一緒に血反吐をはいて、奇跡を起こす挑戦をしていきたい。みんな、ついてきてください!

(「Miracle」という映画はよいモチベーションになると思うので興味のある人は是非観てください。)

 

以上の目標を達成するための僕の決意は以下の2点に集約される。

1点目はプレイヤーとしての自身の成長。今まで通り攻撃的な姿勢を貫きながらも、もっと適切なプレーを選択できるようになりたい。秋ごろには最強になっている予定だ。

 

2点目は部員とのコミュニケーションを取ること。やはりチームとしての強さは様々な要因により、部員たちの結びつきの強さに依存する部分がある。プレーに関する共通認識、スキルの教え合い、練習や試合での雰囲気づくり、信頼感、仲間意識など。これらのためにはコミュニケーションが必要である。

また、僕は主将だけどなんでもできるわけではない。チームビルディングをするにあたっては僕だけではできないことの方が多い。だけど我々はチームなので、お互いが自分たちの長所を活かしてかばい合うことができる。だから僕はみんなに助けてもらいたい。そのためにもっとコミュニケーションをとっていきたい。

(以下、現役部員向け。長くなります。)

ある日神宮での練習帰りの車中で増澤と沼田に、「中村は芯の部分は見せてないよね」と言われた。チーム競技をやっている身でありながら、仲間にそう思われているのはまずいと感じた。部員とのコミュニケーションが足りない、または何かを間違えていたのかもしれないと反省した。以下、僕のパーソナリティに触れながら、なぜみんなと頑張りたいかを述べたい。

中村勇太は自分に自信満々なくせに、人見知りで、わがままで、周囲の環境に甘えながら生きてきた。正直、一人では僕は何もできない。例えば、知らない人と話すことはできないし、知らない街や店にはいけないし、他人の気持ちがわからないし、人との適切な関わり方がわからない。しかし、これらの問題を友達が解決してくれてきた。だから、そばにいてくれる僕の好きな人たちの中だけで暮らせばよいと思っている節がある。

大学に入学してからはコロナを理由に友達作りをしてこなかったことや、旧友たちと頻繁に会えるわけではない状況を心のどこかで寂しく感じてきた。僕は入部して当初、ただホッケーをすることで寂しさをうめようとしたが、しばらくして単にプレーをすること以外にも楽しさを見出せることに気が付いた。それは試合で得点したときや勝利したときの部員たちの笑顔である。僕は人の感情を察するのが苦手だが、人が笑っているときの表情なら自信を持って読み取れる。振り返れば、高校生時代までもいかに人を笑わせることができるかを考えてきたし、そこに関西人としてのプライドを持ってきた。かくして僕は部活において、大学生時代に最も思い入れのある人となるはずの部員たちとともに試合に勝利して喜ぶ瞬間のために頑張ってきた。

3年生までは部員とコミュニケーションを取るうえで、特別何も考えずに話しかけられる先輩に話し相手が偏っていた。だが、今度は僕が4年生となり、部員とのかかわり方に問題が発生した。先輩との付き合い方と後輩とのそれが根本的に違うと感じたのだ。僕はほとんど後輩をもったことがない。後輩との距離感の掴み方がわからない。敬語を使われてしまうし、中村「さん」と呼ばれるたびに距離を感じて毎回ちょっと傷つく。みんなといい感じに仲良くしたい。だが近づきすぎたり、なれなれしく素の自分を出し過ぎたりして、うざい先輩になってしまうかもしれないという恐怖がある。そのように感じている僕の様子を見て、「芯の部分を見せていない」や「目の奥が笑っていない」などと言われてしまうのだろう。

僕の主将の理想像は、やりたいことに夢中になっている自分を周りの人間が支えてくれるという形だ。僕は自分の好きなこと以外には興味がなく無知で、不器用である。だからチームを作っていくことにおいて多くの人の助けが必要だと感じる。部の雰囲気を察するのが得意な人、士気を上げるのが得意な人、話すことが得意な人、自分たちに足りない能力に気が付くのが得意な人など色々な人がいるが、部員全員が自分の得意なことでチームを作り上げて欲しい。これは昨年松井さんの決意で述べられた「ヒーロー」と通じる部分があると思う。頼れる仲間である君たちとそのような最高のチームを作るうえで、リーダーである僕を信頼に足る仲間だと思ってもらえるよう努めたい。

 

部員に対して僕の考えていることはまとめると至極単純である。

・今の僕にとって部員が最も大事な人たち

・試合で勝って一緒に喜びたい

・チームのメンバーとして仲間意識を高めたい

この3点である。

最後に松本へ。1年生の時、新入部員が2人のみでしかも片方は経験者という状況で、松本はリンクの端で1人黙々とたどたどしく滑っていた。そんな松本の一度も心折れることなく、高いモチベーションでホッケーに打ち込み続ける姿に尊敬している。今年の僕の一つの夢は、松本のナイスパスからのゴールを決める事である。

 

長文を読んでいただいてありがとうございます。信用を得られるよう自分の考えていることを素直に書かなければと考えた結果、自分語りが長くなってしまいました。また考えている内容をそのまま書くべきか悩んだことで、決意の表明が遅くなってしまい申し訳ありません。最後にひとこと言って僕の決意とさせていただきます。

 

奇跡を起こす「強い東大」を作り上げましょう!